スキンケアでよくある4つの間違いを化粧品研究者が解説

ネット上には様々な美容情報が溢れています。今回はその中でも一般消費者の皆さんが間違いやすい4つのスキンケアについて、なぜ間違っているのか?も含めて分かりやすく解説します。
なつなつ(化粧品・皮膚科学の研究者) 2021.03.01
誰でも

美しい肌を導きたいという想いは多くの人々にとって共通の願いです。近年では男性の美容意識も高まりを見せており、美容は世代や性別を問わず多くの人が関心を寄せる分野になりつつあります。

このように年々多くの関心が寄せられより正しい情報が求められる美容領域ですが、ネットやSNS上には真偽の分からないたくさんの情報が非常に多く溢れており、一体どの情報が信頼できる情報なのか一般消費者の皆さんは判断できないのではないかと思います。

そこで今回は大手化粧品メーカーの現役研究員として働く私なつなつが、一般の皆さんが勘違いしやすいスキンケアの4つの間違いを分かりやすく解説したいと思います。

なお今回紹介する内容はあくまで「皮膚科学の理論として間違っている」ものであり、そのスキンケア行為自体を否定するものではありませんのであらかじめご了承下さい。スキンケア行為自体は、例え理論的に間違っていたとしても皆さんの肌に合った方法であるのであれば何の問題もありません。

ただし今回紹介するように理論として辻褄の合わない情報がSNS上には多数存在していますので、今回はそれらが間違っている理由も含めて詳しく解説していきます。ぜひこの記事の内容をご自身のスキンケアの参考にして頂ければと思います。

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それでは早速内容の解説に入っていきましょう。

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①しっかり洗顔・しっかりクレンジングはNG

photo from canva
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まず1つめの間違いポイントは、皆さんに馴染みの深いスキンケアである洗顔とクレンジングについてです。洗顔・クレンジングを行う目的として皆さんが一般的に考えるのは、「メイクや皮脂などの汚れを落とすため」だと思います。

こういった観点から洗顔・クレンジングについては以下のように考える人が多いのではないでしょうか。

  • メイク汚れをしっかり落とすためにクレンジングはしっかり行う必要がある

  • 男性は皮脂汚れが多いので汚れをしっかり落とせる洗顔料が効果的

  • 洗顔料でしっかり肌をこすって汚れを落とす必要がある

結論から述べると、これらには間違った考え方が含まれるのでぜひ気を付けて下さい。

まず洗顔行為を行う目的として「皮膚表面のメイクや皮脂汚れを落とすこと」というのは正しい考え方です。皮膚表面に汚れが残っていると皮膚の刺激に繋がり、炎症などが引き起こされる可能性があるのは事実です。ただし重要なのは、皮膚表面の汚れを落とすためには強度の強い洗顔は必要ないということです。

確かにしっかり洗顔・クレンジングすると汚れがよく落ちるのは間違いありませんが、その強さの分だけ肌の保湿因子(細胞間脂質・天然保湿因子)も落としてしまいます。この保湿因子の流出による肌へのダメージは非常に大きく、肌荒れや皮膚のバリア低下を引き起こす最も大きな要因になります。

洗顔・クレンジングで重要なのは、皮膚表面の汚れは落としつつ肌の保湿因子は落とさないことです。そして皮膚表面の汚れだけを落とすためであれば強度の強い洗顔は必要なく、基本的に肌の表面を洗顔料で優しくなでるだけで十分です。

  • 脱脂力の強い洗顔料やクレンジングでゴシゴシと肌をこする

  • 肌のツッパリを感じるほどの強度の強い洗顔を毎日行う

これらの状況に当てはまっている方はまず間違いなく「洗いすぎ」であり、肌の保湿因子まで落としてしまっています。知らず知らずのうちに肌にダメージを与えてしまっている状況です。

洗いすぎない洗顔・クレンジングのポイントとしては以下を意識してみてください。

  • 洗顔料は泡立てて使用し、優しく肌表面をなでるように洗顔する

  • クレンジング時には必要以上に肌をこすらない

  • 洗顔後の肌のツッパリ感を感じたら「洗いすぎ」

効果的な洗顔・クレンジングの方法として、私は植物性のオイルなどを使ったオイル洗顔をオススメしています。オイルを使用することで洗いすぎや皮膚へのダメージを抑制できると考えています。詳しくは以下の記事でも解説していますので宜しければご覧ください。

洗い方が弱いとメイクの汚れ落ちが心配になる方もいるかもしれませんが、オイル洗顔を上手く使えばこの点も解消できます。

洗顔・クレンジングは皆さんが思っている以上に肌に大きな影響を与えているスキンケア行為ですので、騙されたと思って「しっかり洗わないこと」を試してみて下さい。

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②「ニキビに保湿」は間違い

photo from canva
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2つ目のスキンケアの間違いは「発生したニキビに対して過剰な保湿ケアを行うこと」です。これは結構勘違いされている方も多いのではないでしょうか?

そもそもニキビというのは、毛穴に皮脂や角栓などの汚れが詰まることでコメドと呼ばれるニキビのもととなる構造体が形成され、これが炎症を起こすことで発生します。 コメドの形成にはアクネ菌などの皮膚常在菌が関与することも明らかになっています。  

photo from イラストAC
photo from イラストAC

このようにニキビは基本的に毛穴の閉塞や菌の増殖が原因となっていますので、ニキビ治療の際にはこれを解消するようなアプローチを取ります。

例えばトレチノインなどの強力なビタミンA誘導体を用いてニキビ部分のターンオーバーを促進させ、皮脂の分泌を抑えたりコメドの形成を抑制したりします。ディフェリンゲルとして知られるアダパレンもこれに近いアプローチです。ベピオゲルなどに配合される過酸化ベンゾイルはアクネ菌の殺菌によってニキビの悪化を防ぎます。

これらを考慮すると、ニキビが出来たからといってニキビ部分を過剰に保湿することはむしろ逆効果と言えます。特にワセリンなどの保湿剤はニキビ部分を閉塞してしまうことになりますし、ニキビ部分を保湿することで湿度が上がりかえって菌の増殖が促進される可能性があります。

  • ニキビ部分に保湿剤を塗る

  • ニキビパッチなどで患部を覆う

これらはニキビの改善においてはむしろマイナスに働く可能性があります。ニキビが出来たからといって過剰に保湿するのではなく、いつも通りの保湿ケアを行えばOKです。

またニキビの発症時には皮膚科で薬を処方してもらい、正しいアプローチで治療していくことが最も重要です。

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③「化粧水をたっぷり使用」は無駄遣い

photo from canva
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3つ目の間違いは「化粧水を推奨量以上にたっぷり使用すること」です。ここでいう化粧水とは乳液に近いとろみのある剤型のものではなく、水分量の多い一般的な剤型の化粧水を指します。

化粧水を水のようにたっぷりと使用することでお肌にたくさんの水分を取り入れ、これによって肌の潤いが上がると思っている方は多いのではないかと思います。化粧水をバシャバシャ使ってお肌の潤いアップ!なんてよく広告で見ますよね。

しかし結論から述べると肌にどれだけたくさんの水分を与えても肌の水分量は上がらないのが真実です。こういった観点から化粧水を水のようにたっぷりと使ってもコスパは非常に悪いと考えられます。

肌の潤いを考える際に重要なのは、外部から与えた水分の量は肌の潤いに影響しないという点です。これは何故かと言うと、外部から与えた水分のほとんどは蒸発するためです。皆さん毎日お風呂に入ってたくさんの水分を肌に与えていますが、肌の潤いは上がっていないですよね?

肌に水分をたっぷり与えると一時的に肌の水分量は増加します。しかしこれらの水分は空気中の水分量と比較して非常に多いため、当然ながら時間経過と共に空気中に蒸発していきます。洗濯物が乾くのと同じような原理です。

photo from natsu
photo from natsu

このことから、どんなにたくさんの水分を肌の外から与えてもこれらの水分は最終的には蒸発してしまうのです。ではどのようにすれば肌の水分量が上がるのでしょうか?

その答えは肌のバリア機能を高めることです。通常なら蒸発していく肌の水分をなるべく蒸発しないように肌に留めることではじめて肌の潤いが上がります。このような水分を肌に留める力こそがまさに肌のバリア機能です。皮膚科学的にはTEWL(経皮水分蒸散量)という指標で表されます。

photo from natsu
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肌のバリア機能を高めるためには様々なアプローチがありますのでここでは詳しく紹介しませんが、日焼け止めの使用などはバリア機能の向上に効果的です。化粧水をバシャバシャと使うと肌の水分量が上がると勘違いしている方は多いですが、皮膚科学の理論的にはそのようなことは起こりません。

化粧水中にも保湿成分が含まれているからたくさん使えばその分だけ保湿効果があると思う方がいるかもしれませんが、保湿目的であれば初めから保湿剤が多く含まれている乳液を使えばよく、あえて化粧水中の保湿成分を使用する意味はありません。コスパは悪いと言えます。

化粧水というのは直接的な保湿や肌の水分量増加のために用いるアイテムではなく、肌のpHを整える、水溶性の美容成分を肌に浸透させるなどの目的で用いるものです。その結果として肌のバリア機能が改善され水分量が上がる可能性はもちろんあります。この点を勘違いしないようにしましょう。

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④「メイク=肌に悪い」は間違い

photo from canva
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4つ目の間違いとして「メイクは必ずしも肌に悪いとは言えない」という点を解説したいと思います。これについても「メイクはお肌に悪いからなるべくすっぴんでいたい」と思っている方が多いのではないでしょうか。

確かにメイクアップ製品中には比較的肌に悪影響を与えやすいと言われる成分が配合されています。特に紫外線防御効果のある成分などはその代表かもしれません。

しかしながら私は「メイク=肌に悪い」と結論づけるのは間違っていると考えています。なぜならメイクは外部刺激から肌を守る役割も果たしているためです。

屋内・屋外に関わらず、外部環境には刺激源となる様々な物質が存在しています。例えば外出する際には紫外線がダメージになりますし、今の時期だと花粉なども肌荒れの原因の一つです。そして家の中に存在するハウスダストやほこり、顔を手で触った際に付着する菌などももちろん肌にダメージを与えます。最近はマスクをする機会が増えましたが、マスクによる高温・高湿度環境ですら肌にとってはダメージです。

このように肌は常にダメージの原因となる様々な因子にさらされているというのが事実です。そしてこのようなダメージから肌を守るのがまさにメイクによる化粧皮膜なのです。

メイクにより肌表面に形成された化粧皮膜は、外部のアレルゲン物質の侵入を物理的に防ぐことで肌を非常に強力に保護します。それだけでなく湿度や温度の変化によって分泌された過剰な皮脂を吸着し、肌の状態を一定に保つ働きもあります。このような理想的な肌の状況はすっぴん状態の肌では形成できません。メイクならではのメリットと言えます。

そしてこの考え方を支持するアンケート結果を私のTwitterで以前取得しています。コロナ禍で在宅勤務となった女性に対して、メイクをしなくなったら肌の調子はどのように変化しましたか?というアンケート調査を行いました。

その結果、肌の調子は変わらない もしくは むしろ悪くなった と答えた方が全体の70%以上を占めることが分かりました。もちろん良くなったと答えた方もいましたが、大半の方がメイクをしなくても影響が無い、もしくは調子が悪くなったと答えています。

photo from Natsu's Twitter
photo from Natsu's Twitter

この結果からメイクは肌にあまり影響を与えない、もしくはむしろプラスに働く方もいると解釈できます。肌を化粧皮膜でカバーすることで、様々な刺激からお肌を守っていたと考えられます。

そしてこれは個人的な見解ですが、どちらかと言うとメイクそのものというよりはクレンジングの方法が悪いため肌にダメージを与えている人の方が多いように思います。これは一つ目のポイントでも解説した通り、クレンジングの強度が強すぎるためです。毎日メイクをしている方でも、クレンジングを見直すことで十分に肌を改善していくことが出来るはずです。

個人的には、たとえ外出しない日でも薄くメイクをしておくことをオススメします。紫外線防御効果は高くなくてもOKなので、肌に合った化粧下地やBBクリームなどを軽く塗っておくと良いでしょう。家の中でも肌の刺激になる物質は多く存在しており、それらの物質から化粧皮膜が肌を守ってくれるはずです。そして優しく洗顔・クレンジングを行えば肌へのダメージもほとんどありません。

このようにメイクには化粧皮膜で肌を守るという役割もあるので、一概に悪いとは言い切れません。個人的にはむしろ肌にとってプラスのスキンケアだと考えています。ぜひこれを機にメイクへのイメージを変えてみて下さい。

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編集後記

以上、今回は一般の方が勘違いしやすいスキンケアの4つの間違いを解説しました。美容に詳しい方であればいずれも当たり前と感じたかもしれません。しかしネット上には今回紹介した内容を積極的にアピールするような記事や投稿が多いのも事実です。

もちろん美容法は人それぞれですのでそれらを否定するつもりは全くありませんが、このような理論を知り、それに基づいたスキンケアを実践することで皆さんにとって最適な美容法にたどり着く効率が高まるのではないかと思います。

ぜひ本記事を参考にして、日々のスキンケアを見直してみて下さい。

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今週も読んで頂きありがとうございました。また来週お会いしましょう!

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