筋トレが美肌を作る!?驚きの研究結果を紹介

近年注目されているのが運動と美容の関係性です。今回は国内化粧品メーカーの最新の研究例をもとに、運動と美容の関係性について紹介・解説したいと思います。
なつなつ(化粧品・皮膚科学の研究者) 2020.11.02
誰でも

皆さんは筋トレが美肌のカギになっている可能性があるという驚きの研究結果をご存知でしょうか?実はこれは全くウソの話ではなく、実際に多くの化粧品メーカーが最新レベルで研究を進めている内容です。

本記事では近年注目されている筋肉や運動と美容の関係性について、最新の研究とエビデンスに基づいて徹底解説したいと思います。

信じられないような話ではありますが、近年は美容における運動の重要性が非常に高まっています。本記事を参考にして適切な運動習慣が美肌を導くメカニズムを学び、皆さん自身の生活にもぜひ適度な運動を取り入れてみて下さい!

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それでは早速内容の解説に入っていきましょう。

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今回は運動と美容の関係について以前より研究を重ねているポーラとファンケルの研究例を中心に引用しながら、運動や筋トレがどのように美容に寄与するのかについて解説していきたいと思います。

キッカケは「生まれつきシミが出来にくい人」

photo from canva
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まずポーラがなぜ美容における運動の重要性に注目できたのか、そのキッカケをつかんだ研究について以下のニュースリリースをもとに紹介します。

ポーラ化成、世界的に権威ある化粧品技術者学会にて発表 美肌体質の秘密-筋肉が“鍵”を握ることを発見
出典:ポーラ化成工業 ニュースリリース

ポーラがまず着目したのは『加齢や紫外線の影響を受けてもシミが非常に少ない人』でした。ポーラの研究によると、加齢して紫外線をたくさん浴びてきたにも関わらずシミが出来にくい体質の人が一定数存在しており、これらの人々には何か美肌を導く秘密が隠されているのではないかと考え研究を進めていきました。

ではどのようにしてその秘密を明らかにするのか?というと、それが比較解析です。非常にシンプルな考え方ですが、我々のように加齢したり紫外線を浴びるとシミが出来る一般的な人と、生まれつきシミが出来にくい人の皮膚や血液などの状態を詳しく調べ、これらの情報を比較することによってシミの出来にくさに寄与している因子が特定できるのでは?と考えたのです。

そこでポーラは一般人とシミが出来にくい人の骨格や体重、遺伝子などを網羅的に調べ、これらの違いを徹底的に解析しました。その結果見えてきたポイントが筋肉でした。ポーラの研究では、シミが出来にくい人において以下のような傾向が観察されたと報告されています。

  • シミが出来にくい人は体幹と下半身の筋肉量が多い

  • シミが出来にくい人は血液中のマイオネクチン量が多い

  • 身体の筋肉量が多いほどシワや色むらなども少ない

マイオネクチン筋肉から分泌されるホルモンの一種であり、別途細胞を用いた研究によってメラニンの生成を抑制する効果があることも確認しています。マイオネクチンような筋肉から分泌されるホルモンの総称をマイオカインと呼んだりもします。

このように生まれつきシミが出来にくい人とそうでない人を比較して研究した結果、美肌を導く重要なポイントとして筋肉やマイオカインという要素が新たに見えてきたのです。

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マイオカインにはファンケルも注目

photo from canva
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ポーラとほぼ同時期になりますが、ファンケルもマイオカインに注目した研究を2018年にリリースしています。こちらは培養細胞での検討にはなりますが、マイオカインに真皮線維芽細胞のコラーゲンの産生促進効果があることを報告しています。

マイオカインが精油で分泌促進されることを発見
出典:ファンケル ニュースリリース

コラーゲンは皮膚の真皮層に豊富に存在する線維状のタンパク質であり、特にシワやたるみの発現に大きく寄与しています。老化した皮膚ではコラーゲンの産生量が少なくなっていることは有名ですね。

先ほどのポーラの研究では、シミが少ない人で血液中のマイオカイン量が多いことが分かりました。それと同時に筋肉量が多いほど顔のシワが少ないという関係性も確認されています。

マイオカインは筋肉の動きや温度などの刺激によって血液中の分泌量が増えることが知られているため、普段筋肉を動かすことが多い人はマイオカインの分泌によって真皮コラーゲンの産生が促進され、結果としてシワの発生が低下すると考えても皮膚科学の理論として矛盾はありません。

そもそも運動による美容への効果はこれまでほとんど研究されていませんでしたが、このようにポーラやファンケルの研究結果がリリースされたことで2018年頃から一気に注目が集まり始めました。

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運動による美肌効果は実際に確認されつつある

photo from canva
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実際に運動による美肌効果はいくつかの研究で確認されつつあります。ポーラの研究例をいくつか報告したいと思います。

体操の習慣化によってシワが低減する

ポーラによると、習慣的な体操によってシワの程度が軽減することが報告されています。被験者の数が少なく季節性なども考慮されていないのであくまで参考程度に考えるべきとは思いますが、興味深い結果です。

研究内容について簡単に説明すると、35~39歳の女性11名に対してストレッチや体幹を刺激する運動メニューを毎日自宅で8週間実施してもらったところ、シミとシワの程度が運動実施前と比較して有意に低減したという内容です。

シミやシワが改善した理由として、マイオカインの関与に言及していますね。もちろんこの結果のみでマイオカインの関与を断定することは出来ませんが、運動習慣と美容の関係性を示唆する興味深い結果だと思います。

体操の習慣化で肌がきれいになることを確認 自己肯定感の向上やストレス低減作用も
出典:ポーラ化成工業 ニュースリリース

筋トレによって真皮の厚さが増加する

同じくポーラは先月開催された世界最大の化粧品関連学会IFSCCにて、筋トレによる皮膚真皮の厚みの増加効果について報告しています。そして真皮の厚さは見た目の若々しさとも関連することを報告しています。

ポーラによると40~50代の女性に対してエアロバイクや筋トレを週2回、4カ月間行ってもらったところ、皮膚の弾力の改善が確認されたとのこと。さらにコラーゲンやヒアルロン酸などの真皮を構成する成分の増加も確認されており、弾力の改善はリーズナブルな結果と言えますね。

さらに特に筋トレを行った被験者においては真皮のバイグリカンと呼ばれる成分が増加することを報告しており、これによって真皮層の厚みが増加することを発見しています。そしてこの真皮層の厚みは実年齢と見た目の印象年齢との差(つまり若々しさ)と有意に相関していることを45名の被験者の試験で確認しました。

筋トレによって血中の成分が変化し、真皮層に働きかけたことを示唆する結果も得られています。真皮の構造変化や厚みの変化は皮膚全体の構造、ひいては見た目の印象にも大きく関係すると考えられるため、今回の見た目の若々しさとの関連も納得できるものだと思います。

適度な運動や筋トレが見た目を若々しく見せることを示唆する興味深い研究結果ですね。

ポーラ化成、世界的に権威ある化粧品技術者学会にて発表  筋トレ(レジスタンス運動)が美肌をつくる
出典:ポーラ化成工業 ニュースリリース

結局運動は取り入れた方が良いのか?

photo from canva
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以上の結果から、適度な運動が美容に効果的である可能性が皆さんにもご理解頂けたのではないかと思います。もちろんこの研究領域は特に皮膚科学においてはまだまだ発展途上ですので確定的なことは言えませんが、運動習慣が美容にも良さそうという可能性は感じて頂けたのではないでしょうか。

そしてよく言われることではありますが、適度な運動の効果は美容に留まるものではありません。近年報告された多くのシステマティックレビューにおいて、適度な運動の健康効果が確認されています。例えば以下のようなものです。

  • 運動による介入は抑うつ症状の改善に効果的である可能性がある 1)

  • 適度な運動は肥満やそれに伴う血中脂質の改善に効果的である 2)

  • 適度な運動は認知機能の改善に効果的である 3)

  • 適度な運動は睡眠の質の向上に効果的である 4)

1) Exercise interventions for the prevention of depression: a systematic review of meta-analyses
2) Effects of Exercise on the Body Composition and Lipid Profile of Individuals with Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis
3) Systematic review and meta-analysis investigating moderators of long-term effects of exercise on cognition in healthy individuals
4) Exercise and sleep: a systematic review of previous meta-analyses

こういった研究結果からも、適度な運動はトータルヘルスに効果的であることがお分かり頂けると思います。これらの効果を発現するメカニズムは様々なものが議論されていますが、やはりマイオカインのような筋肉から分泌されるホルモンの寄与も大きいと考えらえています。

コロナ禍の環境で家に引きこもりがちになることも多いと思いますが、家の中でもできるような簡単なエクササイズでも十分に効果は得られると思います。このニュースレターが皆さんの生活に運動習慣を取り入れるキッカケとなれば幸いです。

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編集後記

以上本記事では、運動・筋肉と美容の関係性をテーマに適度な運動が美肌を導くメカニズムについて解説しました。

皆さん自身もこれまで何となく、ジムやヨガに通って習慣的に運動している人は肌が綺麗な人が多いな~というのを感じている人が多かったのではないでしょうか?本ニュースレターがそのような皆さんの疑問を解決する一助になれば幸いです。

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今週も読んで頂きありがとうございました。それではまた来週、お楽しみに!

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