先回り保湿で乾燥肌を防ぐ!オススメの保湿方法を解説

「先回り保湿」は乾燥が始まるこの季節に非常にオススメのスキンケアです。今回は肌の保湿をテーマにして、乾燥を未然に防ぐための重要なポイントについて解説します。
なつなつ(化粧品・皮膚科学の研究者) 2021.12.06
誰でも

12月に入り段々と寒さの厳しい季節になってきましたが、このような季節の変わり目には肌の不調が非常に起こりやすいと言われています。中でも秋口から冬場にかけて症状が出始めることが多いのが乾燥肌です。

冬場の乾燥肌に悩んでいる方は非常に多いと思いますが、実は季節が切り替わるこの時期のスキンケアが冬場の乾燥対策に極めて重要であることはあまり知られていません。

今回はこの季節に非常にオススメのスキンケアである「先回り保湿」について、皮膚科学研究者の視点から分かりやすく解説したいと思います。

  • 肌の保湿はなぜ重要なのか?

  • 乾燥肌が慢性化するメカニズムとは?

  • オススメの保湿剤の選び方

主に上記のポイントについて解説します。

毎年冬の乾燥肌に悩んでいるという人は非常に多いと思います。そのような方にはぜひ本記事を読んで頂き、今年こそは乾燥肌に悩まない冬を迎えて下さい!

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それでは早速、本記事の内容を解説していきましょう。

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保湿はなぜ重要か?

そもそも皆さんは、なぜ肌が乾燥すると良くないのか科学的に説明できますか?乾燥は肌に良くないというのは美容の常識ではありますが、今回はその理由を皮膚科学的に掘り下げて解説していきたいと思います。

皆さんもよくご存知のように皮膚には様々なタンパク質が存在し、酵素として皮膚の機能維持のために働いています。例えば以下のようなタンパク質が代表的です。

  • ターンオーバーを促進する酵素(カリクレイン、カテプシン)

  • 肌の保湿因子を作り出す酵素(カスパーゼ、ブレオマイシンヒドロラーゼ)

  • 紫外線ダメージから肌を守る酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ)

ではこれらのタンパク質が十分な機能を発揮するために必要なものは何でしょうか?お気づきの方もと思いますが、それが水分です。

皆さんもイメージしやすいと思いますが、我々人間の身体は60%以上が水分で構成されており、身体機能を維持するには水分を欠かすことが出来ません。水分摂取を怠るとすぐに人間は脱水症状になってしまいますよね。

そしてこれは我々の身体を維持するタンパク質も同様であり、基本的にタンパク質は水中でしか働くことが出来ません。つまり水分のない状態と言うのはタンパク質にとっては砂漠のようなものであり、このような乾燥状態では上手く働くことが出来ないのです。

皮膚の水分が少ない乾燥状態になると皮膚を維持するタンパク質の活性が低下し、皮膚の機能はみるみる悪くなります。その結果、バリア機能の低下や炎症・ターンオーバーの乱れなど様々な悪い症状が引き起こされるようになります。

そして冬場には皮膚からの水分蒸発が顕著になることは皆さんもイメージしやすいと思います。冬は空気中の水分量が少なく乾燥した状態になっています。つまり皮膚中の水分も空気中に蒸発・拡散しやすくなり、その結果夏場と比較して圧倒的に肌が乾燥しやすくなります。

photo from Natsu
photo from Natsu

つまり冬は乾燥に伴う皮膚タンパク質の機能低下によって、様々な肌の不調を引き起こしやすいと言えるのです。

このような肌トラブルを回避するためには、皮膚に十分な量の水分を維持することが重要です。そのために保湿をしっかりと行い、皮膚タンパク質の機能を正常に維持することが極めて重要なのです。

保湿が重要である最大の理由は、水分を十分に保つことで健康な皮膚を維持するために重要な皮膚タンパク質を正常に働かせることにあるのです。この点をぜひ覚えておきましょう。

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乾燥肌の慢性化メカニズム

さて今回のテーマである「先回り保湿」をオススメする最大の理由は、乾燥肌は慢性化しやすいという点にあります。これは先ほど解説した皮膚タンパク質について考えると理解しやすいです。

先ほどの解説のように、一度肌が乾燥してしまうと水分量の低下により様々な皮膚タンパク質の機能低下がもたらされます。そしてこれを引き金として、皮膚のターンオーバーが乱れていきます。皮膚のターンオーバーが乱れると正常な角層が形成されなくなり、その結果バリア機能が低下して肌はより乾燥しやすくなります。すると更に皮膚タンパク質の機能が低下していきます。

これらの解説から分かるように、乾燥肌の症状は最終的に更に乾燥肌を悪化させる方向に働きます。つまり乾燥をキッカケにして肌の状態がどんどん悪くなる負のスパイラルが回るようになるのです。

photo from Natsu
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この点を考えると、乾燥症状が一度引き起こされると肌の不調が長引いてしまうことがよく分かると思います。特に何も対策を行わない場合、肌の状態はどんどん悪化の方向に向かい、いつまで経っても乾燥症状や肌トラブルが改善しないということが起こります。まさに負のスパイラルです。

このような乾燥症状の慢性化を防ぐには、以下の2つの方法が効果的だと考えられます。

  • 乾燥症状を引き起こさないように先回りで保湿する

  • 有効成分を用いて負のスパイラルのどこかをストップさせる

ここで出てくるのが私がオススメする「先回り保湿」です。要は負のスパイラルのキッカケとなる肌の乾燥を引きこさないように、保湿の強度を事前に高めておくということです。

皆さんはよく「肌が乾燥しているから保湿する」という対応を取ることが多い思いますが、実はこの方法だと健康的な肌を維持するためには手遅れになる場合があります。一度肌が乾燥してしまうと数週間に渡ってターンオーバーが乱れ、それに伴って様々な皮膚の機能が低下するためです。

皮膚の不調は連鎖的に起こるため、再度一時的に保湿を行ったからといって容易に改善できるものではないことが多いです。つまりこのような乾燥を引き起こさないように、特に冬場は乾燥を感じる前に先回りして保湿を強めておくことがオススメです。

またもし仮に乾燥症状を引き起こしてしまったら、何らかの形で負のスパイラルを断ち切るようなアプローチが必要です。主には皮膚バリア機能の低下がスパイラルの加速に大きく寄与していますので、バリア機能を改善させるナイアシンアミドセラミドを補給することが重要でしょう。

ナイアシンアミドやセラミドについては以下の記事で解説していますので、併せて読んでみて下さい。

一度でも乾燥肌を引き起こしてしまうと、乾燥症状が冬の間じゅう長引いてしまうことがよくあります。そうならないためにしっかりと先回り保湿を行い、もしもの時のために美容有効成分で肌のバリア機能を高めておくことが重要です。

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アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎の有効な治療法の一つにプロアクティブ療法があります。このプロアクティブ療法は今回ご紹介した先回り保湿と通じる部分がありますので、概要を紹介させて頂きます。

アトピー性皮膚炎は強いかゆみと乾燥症状を示す皮膚疾患であり、乳幼児に多く発症することが知られています。このアトピー性皮膚炎を予防するために、特に何も症状が出ていない状態でも保湿剤やステロイドを使用するというプロアクティブ療法が有効であることが知られています。

プロアクティブ療法に対して、症状が発症してからその都度対処する方法をリアクティブ療法と呼びます。プロアクティブ療法はアトピー症状をより長期間落ち着かせることができると言われており、近年ではプロアクティブ療法を積極的に推進している皮膚科が多いです。

さてここで注目して欲しいのはリアクティブ療法の方です。アトピー症状が出てからステロイドを使い始め、一旦症状が落ち着いても再度ぶり返すような絵が書かれていると思います。一旦症状が治まったのに、なぜまたアトピー症状が生じてしまうのでしょうか?

実はこの時間差が多くの肌トラブルを理解する上で重要になります。これまでに私が何度も解説してきたように、皮膚は約1カ月を掛けてターンオーバーを繰り返すことで正常な状態を維持しています。これは言い換えると、肌の最表層である角層の状態は1か月前の皮膚内部の状態を反映しているとも取れます。つまり肌のターンオーバー期間を考えると、肌のダメージは遅れて肌表面に現れると考えられるのです。

例えば1か月前にひどい乾燥により皮膚全体にダメージが起こったとします。保湿などで皮膚表面の症状が改善したとしても、1カ月後にはダメージを受けた不完全な皮膚が角層まで上がってきます。

この皮膚はバリア機能が低下し脆弱であるため、また肌にダメージが生じやすくなりアトピーの症状が再発してしまうのです。これがアトピー症状が発症と改善を繰り返す基本的な要因の一つです。

こういった観点から、一度肌の状態が良くなったとしても決して気を抜かずに、プロアクティブ療法の観点でしっかりと事前に保湿ケアを行うことが重要であることが分かると思います。

健康な肌の状態を維持するためには、常にターンオーバー期間を考慮して先を見据えたスキンケアに取り組むことが重要なのです。

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オススメの保湿剤の種類は?

これまでの解説から、乾燥ダメージに先回りして保湿対策を行うことが非常に重要であるかお分かり頂けたのではないかと思います。それでは最後に保湿剤にはどのような種類があり、どのような肌の人にどのような保湿剤がオススメできるのか?という点について解説したいと思います。

非常にざっくりと分けると、保湿剤には水溶性の保湿剤油溶性の保湿剤の2種類が存在します。代表的な保湿剤の種類と成分について以下に挙げてみました。

photo from Natsu
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水溶性の保湿剤は、皮膚や空気中の水分と強く結合してこれを抱えこむことで、皮膚の内部に水分を留めて保湿します。一方で油溶性の保湿剤は、皮膚の表面に油の膜を張ることで皮膚の水分蒸発を抑制し、保湿に作用します。

水溶性の保湿剤は一般にモイスチャライザーと呼ばれることが多く、油溶性の保湿剤は一般にエモリエントと呼ばれることが多いです。

基本的にはモイスチャライザーとエモリエントのうち自分の肌に合う方の保湿剤を中心に選択することがオススメです。保湿剤の相性は人によっても異なりますので一概には言えませんが、私が個人的に考える基準は以下のようになっています。

  • 乾燥肌の方:モイスチャライザーとエモリエントの組み合わせがオススメ

  • 脂性肌の方:モイスチャライザーがオススメ

  • 混合肌の方:モイスチャライザーがオススメ

  • 普通肌の方:どちらか合う方(どちらでもOK)

どちらかというと水溶性の保湿剤であるモイスチャライザーの方が合う方が多いと思います。

実は油溶性の保湿剤であるエモリエント成分は、皮脂の構成成分にもなっています。詳細は以下の記事で解説していますが、皮脂の多い方は既に肌上にエモリエント成分が豊富に存在していることが多く、あえてエモリエント剤を使用する必要は無いと考えられます。むしろ油分が多くなることでニキビの原因になる事もあります。

このような基準で保湿剤を選んで行けば、自分の肌に適した保湿成分が見つけることが出来ると考えられます。

今回解説したように、自分の肌に合った適切な保湿剤を選択し、乾燥症状が現れる前に先回りして保湿を行うことが冬場のスキンケアには極めて重要です。これからまだまだ寒さと共に乾燥も厳しくなりますので、本記事の内容を参考にしてぜひ「先回り保湿」にトライしてみて下さい。

***

編集後記

以上今回はこの季節にぜひオススメしたい「先回り保湿」について解説しました。事前に肌の保湿強度を高めておくことで乾燥のスパイラルを断ち切り、冬場の乾燥にも効果的にアプローチできることがお分かり頂けたのではないかと思います。

特に乾燥は一度発症すると長引くことが多いですので、空気が乾燥し始めるこの時期にしっかりと対策しておくことが重要です。保湿剤の選び方なども解説しておりますので、ぜひ本記事を参考に先回り保湿を実践してみて下さい。

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今週も読んで頂きありがとうございました!それではまた来週お会いしましょう!

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